最近の日射量の傾向について

COLUMN


■2009年の天気
新しい年に変わったところで、2009年の天気の傾向がどうだったのか、特に太陽光発電との関連が強い日射量について振り返ってみたいと思います。
気象庁から公開されている過去の気象統計情報によると、東京で1257kWh/㎡、大阪では1419kWh/㎡、福岡では1328kWh/㎡で、いずれも平年より上回っていました。東京、福岡は前年よりも下がり、大阪は前年と同じです。またそれぞれの地点で日射量観測が始まった1961年~2009年の約50年間の中で、東京では歴代13位、大阪では5位、福岡では23位でした。

ここ数年の中では少し日射量が下がった年でしたが、これは昨年の7, 8月に梅雨前線の停滞が続き、すっきりしない天気が続いたのが響いたものと思われます。この夏の異常気象は、「エルニーニョ現象」の影響が強いと言われています。ただし、9月に入ってからは秋雨前線が弱く、低気圧の発達がなくて全国的に晴れの日が多かったため、年間トータルでの日射量の落ち込みはそれほどでもなかったようです。

■日射量の短期的(数年単位)傾向
図1は、東京、大阪、福岡の3都市について過去約50年間の年間日射量をグラフにしたものです。グラフがギザギザしていて、1~3年くらい毎に日射量が大きくなったり小さくなったりするのを繰り返しています。エルニーニョ、ラニーニャ現象と対応しているようにも見えますが、因果関係ははっきりせず、このデータだけでは断定的なことは言えません。

グラフの山と谷の差は数10kWhから、大きいときで100kWhを超えることもあります。これは一般家庭用太陽光発電で1ヶ月分の発電量に相当するくらいです。

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■日射量の長期的(数十年単位)傾向
さらに、長期的なタイムスケールでの変動をわかりやすくするために、図2に10年移動平均のグラフを示しました。50年前からの傾向を見ると、1970年代の始めに日射量が落ち込んだ後は、上昇傾向にあり、ここ数年は日射量が高い傾向が続いていると言えます。

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今後はこのまま上昇していくのか、現状維持か、あるいは再び下がっていくのかはわかりません。地球温暖化との関連なども気になるところではありますが、太陽光発電にとっては、発電するのに良い条件とも言えるかもしれません。

ところで、多くの発電量シミュレーションでは、基となっている日射量データとして、1961年~1990年の30年間の平均値が使われています。しかし上記に見られるように、最近の傾向からすると、1961年~1990年のデータというのは古くて実情に合っていません。
Solar-Meshのシミュレーションでは、2003年~2008年と比較的新しいデータを使っています。近日中に2009年のデータも反映させる予定ですので、最新の気象情報に基づいたシミュレーションをご期待ください。